Novels
童話からミステリーまで、過去呼んで感動した小説の羅列
童話物語 向田貴彦
孤児で、いじめられっこで、飢えて、辛くて、それでも一人で生きて。「私以外の人間だけでいい、全部消して」とまで願うほど全てを憎んでいた小さな女の子。そんなペチカが「世界を滅ぼす」といわれ嫌われる妖精という存在に出会ってしまったために、小さな村を追い出されてしまう。けれどペチカは旅の中で、行き着いた先で、たくさんの人と出会って、愛を知り、人を愛するようになる。どうしようもない「憎しみ」をどんな人でも抱くことがある。それを、命の大切さや人の持つ優しさ・強さ・愛、自分を見返りなく思ってくれる人の存在を知ることで、「ゆるす」といえる強さを持てるのかもしれない。世界には隠しようもない悪意や汚さがあって、でも虹を美しいと思う心をみんな多分持っている。それは凄く些細なことで、でもとてつもなく素晴らしいことなんだと思う。
虹を操る少年 東野圭吾
平凡な夫婦。その子どもは特異な天才だった。あらゆる面において。そんな彼がやがて操りだした色を使ったコンサートは、それを理解する人を魅了し、まるで信者のような人々は増えていき、やがて彼の影響力は全国的規模となる。新しいその力におびえ、彼を消そうとする人々、彼の仲間となり救おうとする人々。既存の権力を覆してピラミッドをひっくり返す大きな力が現れたとき、どうするか。ふと、考えさせられてしまう。
竜は眠る 宮部みゆき
地下街の雨 宮部みゆき
短編集。この中の最後の話で、神様の定めた運命に逆らってそれを変えることで出会った、愛する人を失ったときの女性の持つ強さに焦がれた。
ムーンパレス
複層的。本を積んでテーブルにしたこと、公園で行き倒れそうになりながら人々の施しで生き延びたこと、岩窟の絵。思い出すのは、欠片。
モモ ミヒャエル・エンデ
名作。時間どろぼうと、世界で一番「聞く」ことができる少女のお話。中盤まで、時間泥棒が現れるまでの話がとても好き。時間の花、読んでいて思い出すのは、鏡の国のアリス(?)の話で入れ替わり立ち代り小船に乗ったアリスの前に現れる美しく見える花だ。これって、どちらも決して映像化できないだろうな、と思う。モモの歌声も実写は難しいだろう。極めて一般人である私さえ、言葉から想起するイメージというのは、プロの映画監督の作るものに時に勝る。それって、不思議で凄いことだな、と思う。
心地よく秘密めいたところ ピーター・S・ビーグル
墓場の幽霊を見れて、彼らと話せる中年男性と淑女。死んでしまった整った顔立ちの男と美しくない女。それぞれが織り成す不思議な恋と人生模様。切なくて、奇妙で、いとおしい。そんなお話だ。
赤毛のアン モンゴメリ
好き嫌いがはっきり分かれるだろう。私は村岡花子訳が好きだ。何度読んだだろう。その度に古き良き、自然に溢れたアヴォンリーのグリン・ゲイブルスに暮らすか細いけれど魂の滾る少女の、繊細で瑞々しい感性に惹かれる。モスリン、白樺、林檎の花、サンザシ。この本を読んで焦がれたものだ。
「ナルニア国物語」シリーズ c・s・ルイス
爽やかな冒険譚、「馬と少年」は何度も読んだ。話す馬が素敵。「朝びらき丸東の海へ」と「銀のいす」は、その鮮烈な景色のイメージに圧倒される。「朝びらき丸」では触れたものを金にしてしまう泉やとろりとしてかぐわしい海の情景、「銀の椅子」では道程の荒涼とした風景や巨人の家、暗い洞窟、食べられる宝石の話など、すごかった。映画化で、勇敢なあのネズミが登場するのをとても楽しみにしている。
死神の精度 伊坂幸太郎
独立しているようで、連鎖する物語。音楽好きで雨男の死神の淡々とした態度が好きだ。そんな死神すら年の功か働かせてしまう、美容室の老女が痛快。最後に見える虹が清清しい。
ラッシュライフ 伊坂幸太郎
様々な人生の交差。錯綜する物語。くっつく死体、神様、死んだ父の話。赤い鍔折り帽、エッシャーの絵、ビートルズ。お互いの伴侶を殺そうと計画する浮気中の2人の男女、「神の解体」を描かされることになった新興宗教の信者の青年、飄々とした泥棒、拳銃を手に野良犬を連れる失業者、画家の女性と狡猾なお金持ち、駅で道行く人に好きな言葉を尋ねる外国人女性、拳銃を武器に恐喝を続ける老夫婦。仙台を舞台に主人公は次々と入れ代わり、撒かれた断片は不思議と絡み合いながら、物語の終結に向けて動く。あえて一番の主人公が誰か選べと言われたら、私はリストラされた男性を挙げるだろう。確かに世界は金だ。けれど世の中にはお金で買えない価値がある。ラッシュライフから外れていながらも、実はその中心にいた彼に拍手。
博士の愛した数式 小川洋子
博士はすぐ忘れてしまう。愛する、奥さんのこと以外は。けれど博士は天才だ。主人公の家政婦の女性が、数学は分からないけれど彼の言葉に惹かれ、様々な数式を美しく感じる感性を持っていることが凄いと思う。神様の書いたものの切れ端を覗き込んで書き写す。そんなことができたらなあ。この少し哀しい物語は、何処までも優しく温かい。
きつね山の夏休み
小学生の頃だったろうか。もうあんまり覚えていないのに、とっても良かった記憶だけある。(だめだ)でもとてもわくわくして、ちょっと切なくて、いい夏の一時を過ごした、と感じたことは覚えている。
ライオンハート 恩田陸
英国が舞台。何度もめぐり合う運命の男女。その一つ一つが短編のようになっている。逢うたびに、互いに強烈に惹かれ愛を感じる。何がそうさせるのか。名前、がヒントである。北村薫の「リセット」をなんとなく少し思い出す。
ロミオとロミオは永遠に 恩田陸
随分前に読んだので間違いがある可能性は否定できない。イメージは3丁目の夕日的な風景、地雷の埋まった平原、命がけの怪しげな特訓場、気狂いの校長、寮に暮らす少年達。娯楽に溢れた裏の地下街。近未来、汚染された地球を先進国はとっくに去っている。日本は残されて後処理中。巻き込まれた少年達はどうなるか。懐かしいような、奇妙な、閉鎖的な環境。戦い、競争、陰謀、友情、耽美、逃避劇、タイムスリップ。滅茶苦茶に長くて混乱してしまいそうになる。けれど恩田陸特有の、登場人物の妖しい魅力は炸裂していたので勢いで最後まで読んでしまう。疲れたけれど個人的には面白かった。
麦の海に沈む果実 恩田陸
エミリー
ウォルター少年と夏の休日
人生ノート 五木寛之
「戸惑う人は美しい。」その言葉は良く覚えている。迷ってもいいよな、と思える。
木かげの家の小人たち
クワイエットルームへようこそ
精神病院に運び込まれてしまった女性の話。おかしな人たち。それぞれの人生、病気。生々しくて、痛々しくて。けれどどこか可笑しくてポップ。誰でも疲れることや行き詰ることがあって、それでも何とか生きていく。クワイエットルームへ、ようこそ。
アナン
ホームレスは赤ん坊を拾う。ゴミだめで拾い、育てたその子は、奇跡の男の子だった。芸術が、それが人を打つ様が、子と養い親の関係が、生き生きリアルに描かれている。泥臭さと神聖さが同居した不思議な物語だと思う。
レッドゾーン
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